第46回は、「 小森(こもり)窯跡」です。
所在地は有田町広瀬です。史跡には指定されていません。
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小森窯跡(遠景) |
小森窯跡は、1991年度に九州陶磁文化館が、1992年度に西有田町(現有田町)教育委員会が調査主体となり発掘調査が行われています。その後、1992年に『西有田町小森窯跡』が九州陶磁文化館より刊行され、『西有田町内古窯跡群分布・発掘調査報告書』が西有田町教育委員会より刊行されています。
発掘調査では、1基の窯体が確認されていますが、その付近に遺物や焼土の散布も見られ、複数基の存在の可能性が考えられます。確認された窯跡は両側に小さな沢がある谷状のやや盛り上がった部分に築かれています。
出土した遺物は陶器のみで、碗や小皿が主体となっており、ほかに中皿、大皿、小杯、すり鉢、甕が出土しており、鉄絵を施したものも見られます。胎土目積みの陶器で砂目積みは見られませんでしたが、高台にもみ殻の跡が残るものも確認できました。窯道具はトチンやハマが出土しています。出土遺物から1600年代~1610年代ころの操業と推測されます。
小森窯跡は、私有地の中にあるので現地を見ることはできませんが、これまで紹介した広瀬山の窯跡が付近には所在し、付近を散策することで当時の雰囲気を感じることができるかもしれません。なお、有田町教育委員会が刊行している報告書については、現在在庫がありませんのでご了承ください。
(伊)R1.10.3