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有田の陶磁史(413)

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 前回まで、江戸の遺跡の出土状況などから、お殿さまとか上級武士さんなんかが使ってたもんは、やっぱ南川原山とか内山とかの製品が主体よねって話をしてました。なかなか終わりませんけど…。そんで、南川原山の製品と内山の製品は別々に考えるべきではなく、最上級のセットであっても、両地域の製品を組み合わせて、はじめて全部の種類が揃うようになっているってところで終わってました。今日こそは、同じ武士でも、下級武士さんの話をします。

 実は、下級武士さんちは、意外に上級武士さんちよりも難しいんですよ。だって、上級武士さんは、よほどの変人でもない限り、それなりのもんを使いますので、先ほど記したように、南川原山と内山のセットってことなります。そうすると、この両地域の製品には、原則的にスタイル差がないので、脳ミソで理解する上でも、比較的セオリーどおりの解釈が可能ってことで、昔から伝世品なんかで組み立てられてきた、この時期の製品はこんなのなんて編年観がすんなり使えたりします。

 ところが、下級武士さんにはいろんな人がいて、コッソリ儲けてる人もいるでしょうし、儲けてても、磁器なんぞに興味な~しって人もいるでしょうし、逆に、貧乏なのにやきもの大好きって人もいるでしょうし、普段はいいやつなんて使えないけど、たまたま偉い人から高級なやきものもらったって人もいるでしょうし、まあ、千差万別ってとこ。

 いや、別に千差万別でもいいんですよ。上級武士さんだって、本当は千差万別なはずですから…。ただねっ。上級武士さんちみたいに、南川原山や内山の範囲の中で千差万別なら、それってスタイル差はないので、大きな問題にはならないわけですよ。

 ところが、17世紀後半の特徴として、製品ランクを規定するのは原則的に様式差、スタイル差なもんですから、中級品や下級品生産の山の製品が混じり出すと、突然、複雑怪奇になってしまうわけですよ。

 ずっと昔の話なので忘れたかもしれませんが、何とか思い出してみてください。そもそも、内山をヨーロッパなどの海外輸出の拠点にすべく、域内の技術を平準化するために、高級量産品の産地に位置付けた内山規格に合わない業者を、西側へと一斉に移して外山という概念を作りだしたわけです。なので、内山の技術は、当時併存していた初期伊万里様式と古九谷様式の中でも、古九谷様式の技術をベースとしているわけです。

 ところが、外山の中・下級品生産の山の技術には、特に下級品生産の技術の場合は、ベースとなる技術は初期伊万里様式の技術なわけです。ついでに、中級品の山なんかは、古九谷様式とも初期伊万里様式とも言えないような、得体の知れない、それらがグチャグチャになった様式も含まれているわけです。

 そうすると、下級武士さんちが使うようなものには、同時期にいろんな様式が混在することになります。そんなもん、伝世品をベースにした形式学なんぞは、まったく通用しませんぜ。まあ、もっともそんな下級品なんてほとんど伝世してませんけど、たとえ伝世していても、形式学に則って初期伊万里ってことで古いことにされちゃうと思いますけど。

 ということで、今回はやっと下級武士さんの話に入れました。めでたし、めでたし…。(村)

 


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