前回まで、相変わらず、加賀藩邸の長屋建物群の出土製品についてお話ししてました。なかなか終わらないですね…。陶磁器の出土量としては、碗、皿、鉢が多くを占めてるってことでしたが、たぶんこん中では皿が断トツだと思いますよってことで、前回は、その理由をお話ししてたら終わってしまいました。
だって、鉢はどう考えてもワンサカってほど多そうな器種じゃないですし、碗の場合は、17世紀には現代のように主な用途が飯碗じゃなくて、本当に茶碗なんで、そんなに数はいりませんからね。なので、有田なんかでも、どの製品ランクでもいっぱい作ってるってもんじゃなくて、高級量産品生産の内山がメインで、それよりも高級な南川原山にもそんなにないし、逆に、中・下級品の山でも多いわけじゃないんですよ。そりゃ、窯跡の発掘なんかでも、皿が圧倒的に多いってのが普通。
いや、お断りしておきますが、それは日本国内の話ですよ。なので、異文化である、たとえば東南アジア向けの龍鳳見込み荒磯文碗とかみたいなもんは、ワンサカありますよ。
つーことで、今日は長屋建物群で出土している染付皿の話をしますね。ちょっと前に、中皿もあるけど、小皿が大半を占めているって話をしました。ちなみに、中皿は厳密に言えば中級品の山の製品と区別が付かないものもありますが、ほぼ内山の製品です。
えっ?中級品の山と内山の製品の区別も付けられないの…?修行が足らんねって言われそうですが、残念ながら、それは修行でどうにかなるもんではありません。だって、昔、昔お話ししたことがあるかと思いますが、内山の製品の質幅の中で、相対的に下方に当たるものと、中級品の製品幅の上の方は、あえて質的な差はないように生産制度上決まっているからです。
考えてみたら分かりますが、一つの製品ランクの中では、標準的な、つまり中くらいのものが数量的には多くなるわけでしょ。そうすると、必然的に上下は品揃えが薄くなってしまいます。それじゃ、需要に対する供給のすき間ができるってことですから、ちとマズイでしょ。そのため、上下ランクとの間に、ちょっとのり代を設けて、あえて質が重なるようにしてあるわけです。つまり、これで一件落着ってわけですよ。なので、出土している中皿の中には中級品の山のもんもあるかもしれないけど、でも、生産規模から言っても、まあ、ほとんどは内山でしょうねってくらいまでしか言えないってわけです。ねっ、システム的にそうなってんだから、修行じゃどうにもなんないでしょ。逆に、これが分けられるようじゃ、生産制度の方に不備があるってことですからね。つーか、もしそれでも、「いや自分なら識別できる」って方がいらっしゃったら…、たぶん信じない方がいいでしょうね。少なくとも、現在の研究レベルでは200%不可能ですから…。
ありゃ~、中皿の話をしていたら、またほとんど進みませんでしたね。でも、小皿の方はちょっと込み入った話をしないといけないので、本日はここまでにしときます。おしまい。(村)