先日のこと、鹿児島の田中久雄さんという方からお電話がありました。その内容は以前、館報No,45で紹介した「グッド・ウィル・ツリー（善意の木）」をご覧になってのことで、福岡在住の深海満治さんから有田町に贈られた花水木のことを紹介した記事についてでした。

その後、田中さんからは田中さんのお父様・田中長吉さん宛てに深海満治さんが送られた手紙のコピーも送っていただきましたが、そこにはアメリカから送られた花水木の苗木が広島・長崎の原爆落下地の供養塔そばにも移植されたことが記されていました。

また、1947年（昭和22）にアメリカ・少年の町の創立者であったフラナガン神父が福岡を訪れた際に深海さんと会う機会があり、深海さんのことをその姓に因んで「Peaceful　Deep Ocean」と呼んでいたとあります。

さらにかのヘレン・ケラー女史が1948年（昭和23）に福岡を訪れた際にも深海さんとの交流があったようで、アメリカに帰国した翌年、ヘレン・ケラー女史が深海さんへ宛てたサイン入りの手紙のコピーも送っていただきました。深海さんは有田出身で明治32年生まれ。東京高等工業学校を卒業後、商工省や大蔵省に勤務されていたということはわかっていますが、社会福祉に尽力されたフラナガン神父やヘレン・ケラー女史などとの交流から推測すると、深海さんも社会福祉事業などに尽された方だったのかもしれません。

ヘレン・ケラーから深海満治さんへ送られた手紙（直筆のサイン入り）　田中久雄さん提供

深海さんから町へ贈られた花水木2本のうち1本は枯れてしまったそうですが、もう1本の白の花水木は本庁舎横に移植されています。改めて有田には多才な人が生まれ、育っていると感じました。（尾）H28.9.6

※花水木～学名: Cornus florida）は、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。別名、アメリカヤマボウシ。ハナミズキの名は、ミズキの仲間で花が目立つことに由来する。また、アメリカヤマボウシの名は、アメリカ原産で日本の近縁種のヤマボウシに似ていることから