山辺田遺跡の1630~40年代の初期伊万里様式の染付中皿の最後です。写真の皿は、外面は無文で、口縁部は外側に折って、内面胴部には縦鎬状の陰刻文が巡らされています。見込みの部分には花状の文様が描かれ、口縁部にも割菊状の花文が、少なくとも2方向以上に配されています。見込みの花状の文様はかなり珍しい描き方で、おそらくこれまで類例はないと思います。
|
染付花文中皿 |
これまで5つの染付中皿を紹介してきましたが、おそらく山辺田の窯場の製品のイメージを強くお持ちの方ほど、異質な感じを受けたのではないでしょうか。これ以後、山辺田の初期伊万里様式の製品は、胎土の鉄分が多く青みが強くなり、染付の色調も黒ずんだり、緑色がかったり安定せず、文様の描き方もラフになるなど、急速に質が低下してしまいます。(村)H28.10.28