第5回は、「小樽(こだる)1号窯跡」です。
所在地は有田町中樽3丁目にあります。史跡には指定されていません。付近には以前、有田町の指定文化財シリーズにて紹介しました小樽2号窯跡が存在します。
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小樽1号窯跡付近 |
発掘調査は行われていませんが過去に付近を踏査した結果、窯の存在を示す遺物の散乱が見られました。調査報告書は刊行されていませんが。町内古窯について分布調査を行い、『有田の古窯 町内古窯跡群詳細分布調査報告書第11集』を1998年に刊行し、小樽1号窯跡についても記載されています。刊行している報告書については、在庫はありませんのでご了承ください。
過去に、小樽1号窯の付近で住宅を建築した際に表面採集した遺物や、踏査した際に確認した遺物は、染付の碗・皿・瓶・小坏、白磁の皿、青磁の皿、鉄釉の皿を採集することができました。採集した遺物は他の窯場に比べると小坏が多く確認され、遺物から1620‐30年代~1650年代頃の窯場であることが推測されています。
現在の小樽1号窯跡付近は、小樽2号窯跡から南へ向かった住宅が並ぶ宅地となっており、窯跡があったとされる場所を確認するため現地付近を訪れましたが、情報がないと本当に窯跡があったのであろうかと思うほど、住宅地となっています。地形的には南方向へ上っているので、元の地形がもう少し残っていれば、分かりやすかったのではないかと感じます。付近を散策される際は、私有地や個人の住宅地なのでご迷惑にならないようお願いします。(伊)H29.6.22