第9回は、「前登(まえのぼり)窯跡」です。
所在地は有田町上幸平二丁目です。史跡には指定されていません。
前登窯跡付近
発掘調査が行われていないので、窯体の確認ができていませんし、製品等についても不明です。しかし、前登窯があったという事が文献や絵図として記録が残っています。文化11年の記録には22室、安政6年の絵図には12室、明治9年の記録にも前登の記録があり18年の記録には当時、精磁会社の所有となっていたことが推察され、香蘭社とともに明治初期の有田を代表する会社の製品を焼いていた窯と思われます。
これらのことから、文化11年以前から19世紀を含む年代まで操業していたことが推定されます。
現在、前登窯跡の所在する場所には、標柱が建てられておりますが、個人の私有地内となっていますので、現地を見ることはできません。付近には紹介済みの中樽窯跡や舞々谷窯跡、紹介予定の大樽窯跡や西登窯跡がありますので、次回や次々回に紹介していきます。(伊)H29.7.27