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第116回 美術工芸品・オブジェ部門 受賞作品

最終更新日:
美術工芸品・オブジェ部門は【佐賀県立九州陶磁文化館】にて、4月29日~5月12日まで展示しました。

文部科学大臣賞

連作 バベルの塔(レンサク バベルノトウ)【嶋田 敏生】佐賀県

  • 1-1文部科学大臣賞

2・佐賀県知事賞

『流氷』(リュウヒョウ)【植木 薫】佐賀県

  • 2-1佐賀県知事賞

流氷が海を漂い本当は小さな流氷が『かげろう』の様に大きな形として目に映された形を表現しました。

3位・有田町長賞

PUPA(プパ)【Jovana Cavorovic】岐阜県

  • 3-1有田町長賞

銀色の釉薬の磁器です。この作品は数か月に亘った私の日本での芸術的な発展の結果です。
日本の伝統的な技法に触れた経験を元に、テーマと形状を決めました。これまでの知識や芸術家としての経験と日本で学んだ技術を合わせることで自分なりのスタイルを開拓しています。

佐賀県陶芸協会賞

雨の向こう側-II(アメノムコウガワ)【田中 忍】佐賀県

  • 4-1佐賀県陶芸協会賞

雨の中で咲く紫陽花の美しさと、その時の空気感を主題に制作した。

朝日新聞社賞

藍彩器(ランサイキ)【若狹 祐介】広島県

  • 5-1朝日新聞社賞

日本古来の色彩である藍色に発色する釉薬を何層にも塗り重ねて質感を出します。
釉薬を重ねることで青が持つ色彩の幅と強さが奥行きをもたします。
藍彩を纏うことで得られる重厚感に半する様に形は軽やかに抜けていく様、心掛けて成形します。

熊本放送賞

青白磁鎬彫深鉢(セイハクジシノギボリフカバチ)【川添 貞秀】長崎県

  • 6-1熊本放送賞

作陶するにあたりモットーとしていることは品格と凜(りん)とした雰囲気を醸し出すことを心掛けています。
彫刻の作業は失敗が許されず、又、焼成においてヒビ割れ等のリスクが高い事です。

佐賀県商工会議所連合会賞

氷青磁鉢(ヒョウセイジバチ)【青木 昌勝】佐賀県

  • 7-1佐賀県商工会議所連合会賞

佐賀新聞社賞

艶釉彩深鉢「創」(ツヤユウサイフカバチ「ソウ」)【松尾 勝也】佐賀県

  • 8-1佐賀新聞社賞

三方の変形で動きをだし象嵌技法と呉須のグラデーションを施し、心象風景を表現した作品です。

サガテレビ賞

風の息(カゼノイキ)【中村 慎】佐賀県

  • 9-1サガテレビ賞

白磁の大らかなフォルムに自然の中での優しく吹く風、力強く吹く風の流れを表現しました。

陶業時報社賞

遥か(ハルカ)【辻 聡彦】佐賀県

    • 10-1陶業時報社賞

    雪原の輝きをイメージしながら、白磁の中に、遥か遠くを望む心象風景を表現しました。

    西日本新聞社賞

    春の息吹・彩鉢(ハルノイブキ・イロドリバチ)【松尾 喬】長崎県

    • 11-1西日本新聞社賞

    初春の不安定な気象を象徴とする形として非対称的な物に造形した。
    線紋構成による下部の寒冷状況から上部の暖気状態へと温度の変化と状景を色彩によるグラデーションで表現し上部には矢印による春風をイメージした。

    日刊工業新聞社賞

    銀彩塞器 白月(ギンサイサイキ ハクゲツ)【高橋 朋子】千葉県

    • 12-1日刊工業新聞社賞

    明月の白い輝きをイメージしながら製作しました。塞器の「塞」には、「塞ぐ、堰き止める」の他に「満ちる、溢れる」などの意味もあります。
    蓋物としての容器から、溢れ出る月の光が遍く闇を照らすようにという願いを込めて、造形のデザインや銀彩の絞様に託しました。

    日本経済新聞社賞

    柔角(ジュウカク)【髙田 美智子】京都府

    • 13-1日経新聞社賞

    木綿糸に花しょうをつけて幾重にも重さね合わせてタタラ状を作り、各面を泥しょうのついた糸で縫い合わせている。
    焼成による形の変化による美しさと雰囲気を重視し、土糸の織りなす空間構成の表現である。

    読売新聞社賞

    彩泥線紋大鉢(サイデイセンモンオオバチ)【宇佐美 成治】栃木県

    • 14-1読売新聞社賞

    深い闇に包まれた、優しい光の調和と幻想的な世界をイメージした。内側は淡い色調の化粧土を複数重ね、ブラッシングで柔らかい光を表現した。
    一方、外側は黒を基調に、闇の世界を描き、コントラストのある構成で力強さを強調した。

    陶都有田国際交流協会賞

    被遺棄的重生化石 Rebirth from the fossil specimens - The Abandoned(リバース フロム ザ ファサァル スペシメンス ジ アバンドネット)

    【王裔婷(Wang Christhine Yiting)】台湾

    • 15-1陶都有田国際交流協会賞

    陶磁器産業で生まれてきた失敗作は捨てられ、埋められる。それらが時間が経ち、大地と繋がり、植物の化石のように物体が鉱物や結晶に換わって石のような静かなイメージを破り、その奥から新たな生命力や生まれ変わって成長が続くことを予感させる作品を表現する

    第116回 美術工芸品・オブジェ部門 入選・入賞者、招待作品一覧

     美術工芸品・オブジェ部門(PDF:197.7キロバイト) 別ウィンドウで開きます

    第116回 有田国際陶磁展 美術工芸品・オブジェ部門 審査表

    2019.4.18

     

    審査評

     

    審査長 中ノ堂 一信

     

    第116回という伝統を継承している有田国際陶磁展の審査に参加した。まずは開催されている関係者のみなさんの努力に敬意を表したい。特に今年は年号が「平成」から「令和」に移る、まさにその時期に陶芸展が開かれているという記念すべきタイミングの開催となった。

    本年の審査員は叶道夫、神谷紀雄の両氏と中ノ堂の3名であった。選考の経過は、それぞれが○×方式で入選、落選を表示する第一次選考から始まった。応募作品は109点で、昨年度の127点より若干減少したが、作品のレベルは決して見劣りするものではなかった。近年の各地の公募展の中には、一見して粗雑な工夫のない応募作も見られるが、ここでは高い技術水準を保った作品が応募されていた。ただ、審査員の総意としては技術力の水準に比して、技術を具体的に生かす発想力も見たかったように思う。

    応募作の中で、文部科学大臣賞を受賞した嶋田敏生(佐賀県)の「連作 バベルの塔」、佐賀県知事賞を受賞した植木薫(佐賀県)「流氷」、有田町長賞を受賞したヨバナ・チャボロビッチ(岐阜県、セルビア出身)「PUPA(さなぎ)」、佐賀県陶芸協会賞を受賞した田中忍(佐賀県)「雨の向こう側―II」の作品には技術力とともに豊かな表現力が備わっていた。

    嶋田さんの作品の継ぎの手法で構成された筒状の形体のスケールは会場でも抜きんでていた。その破綻のない技法と絶妙の位置に配置された装飾は見事であった。植木さんの作品は、ろくろ技術の冴えに加え青白磁の釉薬の美と口縁部の変化に高い発想力を見せる。ヨバナさんの作品もスケールの大きなものであるが器肌の柔らかい感触、壺の割れ目の内側に日本的染付模様を施すなど発想が面白い。色絵の本場である有田焼で色絵磁器の応募が少ないのは意外であったが、その中では田中さんの銅系釉薬によるアジサイの絵付けは配置の妙といい、力強さで群を抜いていた。色絵磁器の本場の誇りの一端を示していた。

    最後に比較的小品ではあったが日刊工業新聞社賞を受賞した高橋朋子「銀彩塞器・白月」、日本経済新聞社賞を受賞した髙田美智子「柔角」は格調高い品格の中に、独自の技法、釉法を発揮し女性らしい繊細さを見せており、印象に残った。

    第116回 有田国際陶磁展 審査員

    氏名

    所属

    備考

    推薦者
    叶 道夫日展特別会員
    日本新工芸家連盟副理事長
    日展会員前田 泰昭
    神谷 紀雄日本工芸会元理事
    日本工芸会東日本支部
    千葉県美術会理事長
    日本工芸会今泉今右衛門
    中ノ堂 一信京都造形芸術大学客員教授工芸評論家今泉今右衛門


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