鳥獣被害防止対策
近年、イノシシなどの野生鳥獣による農作物への被害が発生しています。
野生鳥獣による被害は直接的な作物への被害だけでなく、営農意欲の減退や耕作放棄地、さらには離農の増加など、数字では表れにくい深刻な影響も及ぼしています。
被害を防止するためには、「侵入防止対策」「生息環境管理」「個体群管理」の3つの柱を組み合わせて実施することが重要です。
1.侵入防止対策(柵の設置と維持管理)
ワイヤーメッシュ柵や電気柵などで農地を囲い、鳥獣の侵入を防ぎます。しかし、適切な設置と設置後の維持管理ができていなければ十分な効果は得られません。
設置の際は、維持管理のしやすさも考慮することが大切です。
(例:草払いが難しい山際では電気柵ではなくワイヤーメッシュ柵を設置するなど)
〇ワイヤーメッシュ柵
〈設置のポイント〉
・支柱は2メートル間隔で地中にしっかり埋め込む
・メッシュは針金でしっかりと固定する。
・地際に隙間がないように埋め込む。
・縦のワイヤーが農地の外側になるよう設置する。
※イノシシは鼻先だけで50kg~70kgの物を動かすことができ、20cmの隙間があれば、潜り抜けると言われています。
〈維持管理〉
・破損した箇所がないか定期的に見回る
・早めに修繕・補強する
※アライグマなどよじ登る中型獣には単独では不十分な場合があり、電気柵と合わせた対策が必要となります。
〇電気柵
・設置後は常に通電する。
※通電していない時に一度侵入を許すと「危険がない」と学習し、通電中であっても効果が弱まることがあります。
・通電性の良い場所に設置する(アスファルトやコンクリートは通電性が悪くなる)。
※鳥獣の前足などが地面に直接触れるよう設置する。
・クリップは農地の外側に向ける(通電していないポールが先に触れないように)
・草が電線に触れないよう定期的な草刈りを行う(草が線に触れると漏電し、電圧が下がります)
【重要なポイント】
学習能力が高い野生鳥獣(イノシシなど)は小さな隙間を探し出し侵入します。そのためしっかりと隙間なく農地を囲うよう柵を設置することが大切です。
また、一度侵入できた場所を覚え、同じ所から繰り返し侵入する傾向があります。定期的な見回りと早期の修繕や補強が被害防止のカギとなります。
生息環境管理
農地周辺や人里に鳥獣を近づけない環境づくりを行う取り組みです。
(1)エサ場を減らす
・収穫後の二番穂(ひこばえ)
・不要な野菜や果実の放置
※農地での収穫残りだけでなく家庭で発生した生ごみなども外に放置すれば立派なエサとなりえます。
・カキやクリなどの放任果樹
人が「被害」と思わないこれらのエサが無意識な餌付けとなり、野生鳥獣を呼び寄せる原因の一つとなっています。
(2)潜み場を減らす
野生鳥獣は警戒心が強く、身を隠しながら農地に近づきます。
農地周辺の耕作放棄地や藪(やぶ)が隠れ場所となり、安全に農地へ侵入できる環境をつくってしまいます。
これらの課題は、個人だけが対策を行っても十分な効果は期待できず、被害を防ぐためには集落全体で一体となって環境整備や対策に取り組むことが重要です。
個体群管理(有害鳥獣捕獲)
侵入防止対策と生息環境管理と合わせて、農作物被害をもたらす個体を捕獲します。
イノシシなどは学習能力が高く一度農地を「エサ場」として学習した個体が、繰り返し被害をもたらす傾向があります。
そのため、捕獲数を増やすだけでなく、「実際に被害を発生させている個体を見つける」「足跡や侵入経路などの情報を集落で共有する」「捕獲従事者と連携する」などの取り組みが、効果的な被害防止につながります。
※有害鳥獣の捕獲を行うには許可が必要です。また使用する罠についても免許が必要です。
まとめ
鳥獣被害対策は、
・侵入を防ぐ
・寄せ付けない環境をつくる
・加害個体を的確に捕獲する
この3つを組み合わせて実施することが重要です。
また、集落全体で取り組むことが最大の効果につながります。