第114回 産業陶磁器部門 受賞作品
こちらの作品は期間中、有田商工会議所にて販売されています。
経済産業大臣賞
有田焼堺包丁 ペティナイフ 【石川慶藏 (有)佐賀ダンボール商会】佐賀県
有田焼堺包丁は、400年と600年の歴史を持つ2産地を代表する作家のコラボ商品。
包丁は堺市ものづくりマイスター田原俊一、有田焼は、世界的で活躍する李荘窯の寺内信二。
使う人に料理の楽しみと感動を与える包丁です。
2位・佐賀県知事賞
氷青磁組鉢-円- 【青木 昌勝】佐賀県
この作品は氷河をモチーフに氷河の青白い色彩と氷を手に持った時の手と氷がひっつく感触を釉薬で表現し、
器は円状に縁は反らせ口元にシャープさを持たせ見込みに円の彫刻を施し円のやわらかな表現をしました。
3位・有田町長賞
麟 Lin 旅酒器 【金照堂 金子真次】佐賀県
見る角度によって、色を変える不思議な色彩を持つ「麟 Lin」シリーズの「旅酒器」。
酒蔵ツーリズムなどで人気の地酒を、友人やご夫婦でゆっくりとお楽しみいただきたく製作しました。
入れ子にもなるので持ち運びにも便利です。小皿はおつまみにも
朝日新聞社賞
青磁白彩中鉢、黒彩中鉢 【大串 匡秀】佐賀県
青磁の器に黒と白のツヤ消しでアクセントをつけました。楽しんで頂けたら幸いです。
熊本放送賞
トルコブルーそうめん鉢 【江藤 裕次郎】熊本県
トルコブルーは顔料を用いない透明感に優れた青です。それをソーメン鉢に仕立ててみました。
水や空を想起させる青はサラダボール、煮物鉢としても色映えします。
佐賀県商工会議所連合会賞
薄手刷毛目文様線彫鉢 【(有)副正製陶所 副島孝信】佐賀県
石膏型を使った鋳込成形の長所である軽く均一に仕上がる特性を活かして製作しました。
内と外に異なる表情を持ち、且つ白磁の美しさを意識して加飾しました。
佐賀新聞社賞
触る文様(1) 【今村 堅一】佐賀県
等級の高い天草陶石を採石した際にでる副産物である(等級の低い、低火度)陶石の有効利用を考えました。
日用の道具として、空間を彩る有田焼を考えてみました。
サガテレビ賞
萩黒千点文パスタでランチ(ペア) 【広川 隆】山口県
黒化粧土の千点文(とびかんな)は、中国、磁州窯にみられる古くからある技法ですが、これを萩焼の大道土に施したところ、
とてもモダンなものとなりました。萩は、茶陶で有名ですが、あえて洋食器のパスタ皿のセットにしてみました。
陶業時報社賞
NERO -S- 【西田 由香】佐賀県
モダンと侘び寂びの共存をテーマに眺めて手に取ってお酌して楽しめる酒器を作りました。
粗いヒビ割れを全体に出し、ヒビの箇所には部分的に釉を施し角度によってちがう黒を見せています。
西日本新聞社賞
白磁ブラスト鎬蓋碗セット 【寺内 信二】佐賀県
「美味しいお茶を飲みたい。」今、お茶のブームが起こりそうな時代を向えています。
中国茶のスタイルを取り入れながら緑茶も含め万能な注器、蓋碗を日本的にアレンジしてみました。
日刊工業新聞社賞
竜宮城へようこそ 【長野 惠之輔】長崎県
海の中のさまざまな魚たち、浦島太郎をお出迎え。白磁に呉須の濃淡と線彫りで心の趣くままに海の世界を表現しました。
日本経済新聞社賞
光描帯すだれ 【原田 吉泰】佐賀県
生地に施されたモールドとサンドブラストによる釉薬のつやの違いで陰影や反射が見る角度によってさまざまに見える様につくっています。
読売新聞社賞
麺鉢と酒器 【長山 陽一】長崎県
伝統的な飛びカンナを取り入れて質感を表現しました。
有田焼卸団地協同組合賞
白磁・青白磁鉢 【中尾 純】佐賀県
一見、傾いてみえる器。よく見ると縁は水平を保っています。使いやすさの中にも少しの遊び心を加え、用と美を表現しました。
佐賀県陶磁器卸商業協同組合賞
釉千段 レジェ ロックグラス 【畑石 眞嗣】佐賀県
陶土に色を混ぜ新たな磁器の味わいを出しています。また、透光性陶土を生かし軽く製作し、釉薬により千段を絵付することですべり止めと
持ちやすさを表現しています。
佐賀県陶磁器工業協同組合賞
白磁青釉波文組皿 【井上 康徳】佐賀県
ロクロ成形仕上げ後、フチを波形に削り表面にも波模様を施し、青釉で濃淡を出す大1、小5の組皿としての作品。
肥前陶磁器商工協同組合賞
金彩銀彩波紋彫シリーズ 【徳永 隆信】佐賀県
陶都有田国際交流協会賞
ロボットやかん 【孫 賢珍】大韓民国
子どもの時から好きだったロボットを自分の手で作ってみたかったのです。そしてやかんに機能性を与え、面白い作品を作ってみました。
技能賞
月ノ器 【辻 浩喜】(辻は、フォントの統一のため2点になっていますが、本来は1点のシンニョウです)佐賀県
人類の月に対する神秘、あこがれを5種類の月で表現しました。
この器をきっかけに月を意識しての生活を楽しんでいただけたら幸いです。
技能賞
bunbun ボールペン TYPE3 【文翔窯 森田 文一郎】佐賀県
磁器製キャップ式ボールペン市販の替え芯をそのまま使用できるように焼き上がりのサイズを調整することと、
本体キャップの作りがこれまでにないものができました。
第114回 産業陶磁器部門 出品者一覧
第114回 産業陶磁器部門 出品者一覧(PDF:216.1キロバイト)
第114回 有田国際陶磁展 産業陶磁器部門 審査評
審査評
審査長 小泉 誠
第114 回有田国際陶磁展、産業陶磁器部門の審査を行った。応募は九州地区を中心に96 点で、昨年からは若干減少している。他産地のクラフトコンペでも「コンペ離れ」の現象が見られ、コンペのあり方を問われている時代でもある。
今回の審査では、審査前に各審査員の評価軸を言葉に出してもらい、審査のイメージを共有した。世界中の製品を日々見比べ、編集者を長く務めた木田隆子さんは「伝統を継承しながら、今の若い人の暮らしに、手の温もり、素材感、自然、を感じる気配を選びたい」。ヨーロッパの食文化に詳しい、料理研究家の石井秀代さんは、「家でのパーティーが増え、SNS などでの『写真映え』がする器とともに、和洋中にこだわらない使いやすい器が良い」。全国の産業でものづくりに関わる小泉は「表層的な意匠ではなく、構造的な創意工夫を凝らし、モノの周辺に影響を与えるもの」とのことで、各々が違う立場で幅広く選定する事として、審査を開始した。
審査は、各審査員の投票で40 点に絞られた。その内、複数票入った12 点について議論を重ねた。強い議論がされたのが、「有田焼堺包丁 ペティナイフ」、「氷青磁組鉢‐ 円‐ 」、「麟 Lin 旅酒器」、「bunbun ボールペン TYPE3」、「白磁ブラスト鎬蓋碗セット」で、この5点の中から最も優れた製品を選ぶ作業を行い、3 点に絞り更なる議論を重ねた。「麟 Lin 旅酒器」は金属質な色合いとともにスタッキング性能が評価されたが、新規性にかけるとの事で他の2 点に絞られた。
「有田焼堺包丁 ペティナイフ」は、有田と堺とのコラボレーションで、互いの優れた技術が活かされ、オープンキッチンなどで見せたい包丁として評価されたが、絵付けの図案に一工夫が必要との意見も出た。「氷青磁組鉢‐ 円‐ 」は、冷たそうな質感を活かして多用に使え、食卓の中にいてほしい器と評価された。この2 つは甲乙つけがたく議論が長引いたが、新たな価値を創出したということで、「有田焼堺包丁 ペティナイフ」を最も優れた作品として選出した。
今回の審査では、審査員から多くの言葉がこぼれ出た。「暮らしぶり」「温もり感」「写真映え」「曖昧なフォーカス」「無国籍」「テクスチャー+造形」「情緒的」「日本が伝わる」など、他にも大切なキーワードが沢山出た。コンペは評価の結果だけが伝わるのではなく、審査会の途中で交わされる旬な「言葉」が醍醐味です。この言葉が記録される事で、このコンペの価値観が伝わり、参加したいと思う気持ちに繋がるのではないかと思う。世界的に知れ渡った有田での陶磁器コンペが、長い歴史に恥じぬよう良い活動として持続する事を心から願っています。
第114回有田国際陶磁展 審査員
(50音順・敬称略)
第114回有田国際陶磁展審査員氏名 | 所属 | 備考 |
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石井 秀代(いしい ひでよ) | 料理研究家・オリーブオイルソムリエ | イタリア・トスカーナ州にて、日本人で第1期生のAISOオリーブオイルソムリエとして認定を受け、現地メディアでも話題になる。美容と健康に非常によいオリーブオイルの特性をイタリア料理に限定せず、幅広いメニューで提供する。イタリアを中心にヨーロッパの食文化や地域性を研究している。 |
木田 隆子 (きだ りゅうこ) | (株)ハースト婦人画報社 エル・デコ・ブランドディレクター | 1990年「フィガロ ジャポン」((株)阪急コミュニケーションズ、旧TBSブリタニカ)の創刊に関わる。同社にて1998年「ペン」の創刊に関わり、のちに編集長に就く。2006年3月からハースト婦人画報社にて「エル・デコ」の編集長に就任し、現在に至る。 |
小泉 誠(こいずみ まこと) | Koizumi Studio | デザイナーの原兆英・原成光両氏に師事したあと、1990年コイズミスタジオ設立。箸置きから建築まで生活に関わる全てのデザインを手掛ける。2003年にはデザインを伝える場として東京・国立市に「こいずみ道具店」を開きリアルなデザイン活動を展開している。 |