Shell(辻 浩喜)
金彩七宝繋紋陶筥(村上 邦彦)
象嵌亀甲文壷(中尾 恭純)
佐賀県陶芸協会賞青白磁鎬彫深鉢(川添 貞秀) |
朝日新聞社賞氷雪の世界(松尾 博之) |
熊本放送賞嘆きの壁(連作)(嶋田 敏生) |
佐賀県商工会議所連合会賞噴水の側で-III(田中 忍) |
佐賀新聞社賞海響(深川 剛) |
サガテレビ賞絞り釉金銀彩更紗文鉢(西山 宗元) |
陶業時報社賞和紙染鉢(中村 ゑ美子) |
西日本新聞社賞象嵌鳥紋鉢(立井 清人) |
日刊工業新聞社賞Rin(畑石 修嗣) |
日本経済新聞社賞-line- 青白磁鉢(百田 暁生) |
読売新聞社賞練上波文組皿(草場 勇次) |
九州山口陶磁展が、今年で111回目を迎えた。公募展としては、殆どこれまでにない長い伝統を有したもので、これまでに多くのすぐれた作家を輩出し、またここでの経験を生かし、これを糧として成長した作家も少なくないことを今回の応募作品数をみても実感した。全体の出品作品数は139点、そして昨年から全国に公募を拡大することにしてきたが、今年は14点と出品数も増え、全国規模での応募があることがしだいに認知され始めたと言えそうになってきた。
応募作品の全体はほんの一部を除いて一定のレベル以上の力量を持つ作品で占められており、この陶磁展の持つ伝統的な位置づけや重みを改めて認識させられた。
入選作品の全体は一定の標準以上のものがそろっているが、作品の傾向としては器を中心としていることはこれまでと変わりなく、また例年同様オブジェ系の作品では少し見劣りした印象を持った。作品としての器は伝統的姿形を保ったものから、器から造形への変化を求めたものまで、その作行の幅は広いが、今日的な時代感を漂わしたものが多かったといえよう。
文部科学大臣賞を受賞した辻浩喜の「Shell」は薄手の磁胎を巧みに変化させ、器内面ではパール色に変化する光との調和を生かした作品である。深鉢形の器面全体に鎬を立てるなど、器内外面に意欲的な工夫を凝らした作品である。佐賀県知事賞を受賞した村上邦彦の金彩七宝繋紋陶筥は職人的な丁寧な技法と手法を駆使した、安定的な作品であり、しっかりとした伝統の中で育まれてきた作行を発揮している。そして、有田町長賞の中尾恭純の象嵌亀甲文壷は繊細な象嵌技法を駆使したものであるが、特にこの直線的な象嵌が球体に施文されていることの技術力には著しいものがある。
なお、審査は日本工芸会理事の塚本満、日展参事、日本新工芸家連盟理事長の寺池静人と私の3人が担当した。
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項目 | 山口 | 福岡 | 佐賀 | 長崎 | 熊本 | 大分 | 宮崎 | 鹿児島 | 沖縄 | 全国 | 合計 |
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出品者数 | 11 | 16 | 67 | 12 | 4 | 1 | 2 | 2 | 2 | 13 | 130 |
(12) | (16) | (71) | (5) | (5) | (1) | (1) | (4) | (14) | (1) | (117) | |
出品点数 | 14 | 18 | 70 | 12 | 4 | 1 | 2 | 2 | 2 | 14 | 139 |
(14) | (17) | (75) | (5) | (5) | (1) | (1) | (4) | (1) | (1) | (124) |
( )内は前回分