第117回 美術工芸品・オブジェ部門 受賞作品

美術工芸品・オブジェ部門は【佐賀県立九州陶磁文化館】にて4/29~5/9まで展示を行いました。

文部科学大臣賞

白磁鉢(ハクジハチ)【中村 清吾】佐賀県

ロクロの遠心力からでる膨らむアウトラインで中心線をつつむカタチを目指した。外骨格が内部を覆っているかの如く。

2位・佐賀県知事賞

緑彩線文扁壷(リョクサイセンモンヘンコ)【山口 淀】長崎県

魅力あふれるビジュアルメッセージが確実に見る人に届くように鮮やかさと美しさを備えたシグナルを送りつづけたいと想います。

3位・有田町長賞

祥衣(ショウイ)【沢田 一葉】熊本県

毎年毎年起こる自然災害や政治も不穏な動きを感じます。重たい空気の中生きているような気がして息がつまるようです。そんな中少しでも嬉しいことがあると敏感に感じそれを作品にいかせないかと思い、良いことをもたらす天女の衣のイメージで制作いたしました。

陶都有田国際交流協会賞

Guglia(グリア)【バルトリーニ レオナルド】熊本県

作品の形は、古代巨石遺跡であるストーンヘンジなどに残るドルメン、メンヒルなどの神秘的なオーラを持つ原始的な痕跡に触発されています。また、表面装飾のオレンジや黒は紀元前のイタリア、ギリシャで始まったテラシジラータという技法です。テラシジラータとは、ギリシャやイタリアの土から水の粒子よりも細かい上澄み液を抽出した液体を、形を作って乾燥した陶器の表面にコーティングして焼成した陶器です。これもまた幼い私の心を釘付けにしたものの一つです。

佐賀県陶芸協会賞

遊水(ユウスイ)【浦郷 壮】佐賀県

材質は磁器で、ロクロで成形しました。
春の豊かな自然に流れる水を表現しました。

朝日新聞社賞

緋色花器(ヒイロカキ)【上田 敦之】山口県

土の素材感を出したくて珪砂を多めに混ぜて成形をし表面処理も荒れままの表情を残しました。
器形については、見方によって山の連なりであったり、波のうねりである様に感じてもらえればと思い成形しました。

熊本放送賞

ゆき風(ユキカゼ)【六平】佐賀県

私は、新潟県出身なので、住んで居た頃の事を思い出し、風に巻かれながら舞い上がる雪の風景を表現したく作陶いたしました。

佐賀県商工会議所連合会賞

釉象嵌鉢(ユウゾウガンハチ)【中尾 純】佐賀県

白磁の釉薬による釉象嵌を使用し、作品を製作しました。鉢に彫を入れてそこに釉象嵌をする事で、より立体感や奥行を表現しています。
マット調の釉薬に光沢釉を象嵌していますので、見る角度や光の当り具合で作品の表情も変わってきます。

佐賀新聞社賞

萌葱青磁釉鉢(モエギセイジユウバチ)【髙森 誠司】佐賀県

サガテレビ賞

濃彩斜陶(ノウサイシャトウ)【山本 昌弘】滋賀県

手びねりによる成形、施釉、還元焼成です。
最近の制作は、前作からの進化と今後の展望を大切にしたいと考えております。

陶業時報社賞

窯変形錆付発条体 古代の聲(ヨウヘンケイサビツキハツジョウタイ コダイノコエ)【玄平】京都府

土と炎のせめぎ合い。機械的窯変の偶然を予測し制御しようとしても拙い洞察力では遥かに及ばない。
柔かい土が乾燥~焼成の中で変形し、塑性化する時、最早、発条の弾性は焼失し螺旋の発条体は傾き倒壊寸前に焼結。螺旋の中から何か聴えるだろうか。

西日本新聞社賞

掻落寒芍薬文花器(カキオトシカンシャクヤクモンカキ)【井上 菊】福岡県

「掻き落とし」の技法を用い、一線一線を大切に、記憶を刻む思いで制作しました。
花々の「限りある美」の永遠性を表現しました。

日刊工業新聞社賞

逢雲(ホウウン)【宮島 正志】東京都

一握りの土が手の中で想いを抱く。
土を積む行為の繰り返しが想いの形となる。
紋様の要素が想いの形を切り出す。
土を紡ぎ、火の洗礼を受け陶に完結した。

日本経済新聞社賞

黒釉掛分象嵌鉢「舞」(コクユウカケワケゾウガンバチ「マイ」)【井上 るり子】福岡県

風に舞う扇をモチーフに懐かしい和への想いをもって制作しました。
ロクロ成形、象嵌による技法で描きました。

 読売新聞社賞

白の森(シロノモリ)【井上 康】福岡県

生命を育む豊かな森のエネルギーを形にしました。

第117回 美術工芸品・オブジェ部門 入選・入賞者、招待作品一覧

美術工芸品・オブジェ部門(こちらよりダウンロードできます。)

第117回 美術工芸品・オブジェ部門 審査評

2021.4.7

 

第117回 有田国際陶磁展

美術工芸品・オブジェ部門 審査評

 

審査員長 石﨑泰之

 

まず、2019年末から世界的に流行し始めた新型コロナウイルス感染症への対策として昨年の開催が中止された、第117回有田国際陶磁展がこのたび実施されますことを心からお祝い申し上げます。

 

美術工芸品・オブジェ部門の審査は、2年前の前回の応募点数(109点)に比べてやや少ない102作品を対象にしておこなわれ、70点が入選となりました。審査は3名の審査員が30点ずつを一次選考した後に合議で精査して決しました。入選作はいずれも完成度の高い作品ばかりですが、さらにこれらを対象に二次選考をおこなって21点を授賞候補とし、合議の上うち15点が芸術性において特に優れているとして授賞することに決しました。

第一席の文部科学大臣賞を受賞した中村清吾さんの《白磁鉢》は、作り手の確かな技術力と表現力がよくわかる作品です。力強く伸びやかな磁土の立ち上がりと造形的な厳しさがみごとに融合して、他を圧する迫力を放つ存在感から選考されました。

佐賀県知事賞を受賞した山口淀さんの《緑彩線文扁壷》は、土の造形ならではといえるたおやかな曲面性と器表に施されたシックで簡潔なパターンが織りなす視覚効果で、かたちにじつに豊かな情感を宿らせています。

有田町長賞を受賞した沢田一葉さんの《祥衣》は、災禍や社会不安に対する切実な想いを、素材の物質性を生かした肌合いが示す純朴な感覚とともに、一つの祈りのかたちに立ち上げています。

今回の審査のトピックとして、ご家族での受賞があります。もちろん審査結果の偶然ですが、有田町長賞受賞者の沢田さんと陶都有田国際交流協会賞受賞作《Guglia》の作者バルトリーニ レオナルドさんはご夫婦ですし、西日本新聞社賞《掻落寒芍薬文花器》の井上菊さんと読売新聞社賞《白の森》の井上康さんもご夫妻で、日本経済新聞社賞《黒釉掛分象嵌鉢「舞」》の井上るり子さんは二人のご母堂です。近接した制作環境での日常的な切磋琢磨が想像されます。

 

ところで、工芸的造形とは素材の物質性を技術力でもって可視的な表現領域へと昇華させるという創造行為です。そのためには、作り手自らがまず素材と親しく交感を重ね、その物質性をよく知覚することが大切です。この行為のうちに作り手の表現の可能性(ポテンシャリティ)は自ずと高められていくはずです。

次回も、完成密度の高い力作が多数応募されることを願っています。

第117回 美術工芸品・オブジェ部門 審査員

 

 

問い合わせ

商工観光課 有田国際陶磁展事務局
〒849-4192 佐賀県西松浦郡有田町立部乙2202番地
電話:0955-46-2500 ファックス:0955-46-2100